北東アジア開発研究科 キービジュアル

浜田キャンパス 大学院 北東アジア開発研究科

先駆的学術領域を切り開く本学の大学院
研究テーマは、北東アジア地域研究

近年、著しい経済発展を見せる中国やロシアなど、北東アジアは、国際社会の未来を展望するうえで大きな影響力を持つ地域となりました。 本学の大学院では、この北東アジア地域を研究対象として広範なテーマで研究活動を行っています。 北東アジアに関する研究を行う大学院は、本学が初めてです。 国際社会が必要とする研究であり、未踏の研究分野でもあります。 本学の大学院がその先駆となっています。

INDEX

INDEX

MESSAGE MESSAGE

研究科長メッセージ

浜田キャンパス大学院 北東アジア開発研究科長 濵田泰弘 写真

島根県立大学浜田キャンパス
北東アジア開発研究科長
濵田 泰弘

人文科学・社会科学の個別科学諸分野の域を超え、
北東アジア地域、および超域を対象とし学際的に追究する

 島根県立大学大学院北東アジア開発研究科は、博士前期課程に北東アジア専攻と地域開発政策専攻を、博士後期課程に北東アジア超域専攻を設置しています。
 地域社会の国際化・グローバル化の急速な進展拡大が趨勢となりました。グローバル化は我々の生活に豊かさをもたらした反面、様々な弊害も及ぼしています。COVID19の感染拡大はグローバル化がもたらした負の側面であることは明らかです。やがて人類はこの危機を乗り越えグローバル化は再び進展していくことでしょう。国境を越えられない現状においてわれわれの目線はつい内向きになりがちですが、近い将来、人類はこの危機を乗り越えグローバル化は再び進み始めるはずです。そして危機の克服後の未来に向けて、我々は北東アジアと世界の未来にまなざしを向けていかねばなりません。
 博士前期課程北東アジア専攻及び博士後期課程北東アジア超域専攻では、北東アジア(中国・台湾、朝鮮半島[韓国・北朝鮮]、モンゴル、ロシア、そして日本)の地域研究、域内の関係論的研究を目指しています。前者においては社会学、統計学、言語学、政治学、経済学、法学等諸領域の研究、後者においては社会学、国際関係論、平和学、国際法等の研究が可能となります。本研究科の学問的特色は、従来の一国研究的な地域研究にとどまることなく、一国の地域研究の枠を超えた「超域=トランスナショナルな」視点を持つこと、そして北東アジア、さらにはロシア、西欧も視野に含みながら追究する点にあります。我々はヒトとモノと文化が多面的に接触・交流し、能動的な活動の中で形成されてきた北東アジア世界の歴史・文化・政治・経済に係る複雑な相互関係の理解に務めねばなりません。それをもとに地域社会の国際化・グローバル化が進展していく未来を眺望していくこと、そして人文科学・社会科学の個別科学諸分野の域を超え、北東アジア地域、および超域を対象とし学際的に追究する。そのような地域の枠と個別科学の枠を超える「超域」的研究が本研究科の指針となります。
 博士前期課程地域開発政策専攻では、地域開発・地域振興に関わる諸問題を、社会諸科学(経済・経営学、政治・行政学、社会学、法学、人文地理学等)を用いて学際的に追究します。具体的には、島根県をはじめとする日本国内における少子高齢化、過疎化、地方分権、地域経済振興、中山間地域開発、エネルギーシフトやSDGsに係る環境問題等の政策的課題等がそれに該当します。これらの課題は、国内のみならず北東アジア地域における政策的課題としても共有され得る問題とも言えるでしょう。本研究科は日本の地域社会は国境を超え広く北東アジアそして世界につながっていることを意識し、これらの課題解決を通じて日本を含む北東アジア社会に貢献することを目指しています。
 大学院は研究生活のスタートに当たり、学部時代とは異なり大学院生の自主的な研究が中心となります。大学院教育の指導体制はそのような研究の道標となるべき役割を果たすものです。本研究科では、指導教員の個人指導に加え、複数分野の3名で構成される研究指導体制、論文作成に当たっては報告会等の機会で教員全体によるきめ細かなアドヴァイスを含んだ研究指導を行います。大学院生は北東アジア各国の留学生が集う国際色豊かな環境のもとで学友と交流しながら広い視野を養うこともできます。意欲ある学生諸君が日本海を望む本研究科の門を叩き、知の扉を開かれんことを願っております。

EDUCATIONAL POLICY

特徴

北東アジア開発研究科の特徴

1

体系的な学修の中で培う高度専門知識

博士前期課程においては、1年次に本学の教育理念を幅広く見渡す「専門導入科目」、1年次から2年次にかけて論文作成に必要な知識を学ぶ「専門科目」を置いています。さらに論文作成に必要な技法を身に付けるための「国際言語演習科目」および「情報解析科目」を配置し、体系的に学位授与へと導く教育課程を編成しています。

2

高度地理情報システムを活用した地域研究の充実

本学大学院は、中山間地域の抱える問題を北東アジア地域に共通する問題ととらえ、我が国初の中山間地域を研究対象とする総合研究機関「島根県中山間地域研究センター」との「連携大学院」を設置しています。連携大学院用の科目や「高度地理情報システム」(GIS)に関する科目等を配置することで、地域研究の充実を図っています。

 

3

3

北東アジアの新時代を担う人材を養成

世界的なグローバル化、情報社会化の進展のもと、国境(海)を越えた交流が活発化しています。一方、本県において先鋭化する少子高齢化や過疎化などの問題は、広く北東アジアに共通する課題として顕在化しています。本学大学院では、こうした時代の変化に対応した研究・教育を展開しています。

EDUCATIONAL POLICY

教育方針

北東アジア開発研究科の特色

国際関係学部・地域政策学部

博士前期課程 北東アジア専攻

教育目標

一国研究や比較研究を中心とする従来の研究方法では扱いきれない、現代の北東アジア地域に存在する超域的問題(群)を、本学博士前期課程や他大学院で修得された地理学・歴史学・人類学・民俗学・言語学を主とする北東アジア地域に関わる専門的知識や、政治学・経済学・社会学等を主とする地域研究・地域分析・地域言語・国際関係論等の専門知識と研究の成果を踏まえ、ダイナミックでグローバルな北東アジア学の創成と、北東アジア地域の知的拠点形成に貢献しうる新たな人材を育成する教育プログラムです。

授与する学位  修士(社会学)

養成する人材像

  • 日本を含む北東アジア地域の政治・経済・歴史・社会・文化等の諸事情に関し、自らの現地体験や調査に裏付けられた広範かつ高度で深い理解と知識を持ち、当該地域の複数の言語に通じることによって、既存の複数の学問・方法論は言うまでもなく、新しい有効な学問・方法論を創出して適用する実践的諸科学総合の超域的研究方法を持して、一国一地域を越えて遍在する超域的問題群の研究に取り組み、大学・研究機関において北東アジア地域の研究に従事する教員・研究者をめざす人材。
  • 各国の行政機関、日本を含む北東アジアの地域社会を支える企業、北東アジア地域において国際的に展開する企業、国際交流を支援・推進する公的機関、NGOやNPO等の新たな組織において、的確な対策を提言・策定・実行できる高度な研究能力と問題解決能力を身につけたトップリーダーとして活躍できる人材。

博士前期課程 地域開発政策専攻

教育目標

島根県をはじめとする日本国内における地域社会の再開発や、国レベルの開発政策の課題への理解を深めながら、北東アジアをはじめとする国際社会との関わりの中で新たに発現する地域の社会的課題の発見と、その解決に向けた具体的な施策を立案しマネジメントする能力を有する高度職業人及び研究者を育成する教育プログラムです。

授与する学位  修士(開発研究)

養成する人材像

  • 地方分権、地域間格差、少子化・高齢化・過疎化、環境問題、人間の安全保障(社会福祉・介護、年金問題、医療・健康保険問題)等の地域における政策課題群について、社会諸科学を学際的に用いて分析し、政策を立案し、かつ、政策の実施に際してリーダーシップを発揮できる人材。
  • グローバル化と情報技術の高度化が地域社会に与えたインパクトについて十分に理解し、また、情報技術を地域社会の分析や地域社会のための政策形成に応用できる能力を持ち、政府・NPO・民間の間の協働システムの中で、海外での活動も視野に入れて活躍できる人材。
  • 地域開発に関する国際的な比較研究などを行うことにより、北東アジア地域における地域開発施策に関する研究能力を高めて博士後期課程に進学し、北東アジア社会における地域社会システムの開発に関する研究を極め、それを次世代に教授できる大学教員や研究者をめざす人材。

博士後期課程 北東アジア超域専攻

教育目標

一国研究や比較研究を中心とする従来の研究方法では扱いきれない、現代の北東アジア地域に存在する超域的問題(群)を、本学博士前期課程や他大学院で修得された地理学・歴史学・人類学・民俗学・言語学を主とする北東アジア地域に関わる専門的知識や、政治学・経済学・社会学等を主とする地域研究・地域分析・地域言語・国際関係論等の専門知識と研究の成果を踏まえ、ダイナミックでグローバルな北東アジア学の創成と、北東アジア地域の知的拠点形成に貢献しうる新たな人材を育成する教育プログラムです。

授与する学位  博士(社会学)

養成する人材像

  • 日本を含む北東アジア地域の政治・経済・歴史・社会・文化等の諸事情に関し、自らの現地体験や調査に裏付けられた広範かつ高度で深い理解と知識を持ち、当該地域の複数の言語に通じることによって、既存の複数の学問・方法論は言うまでもなく、新しい有効な学問・方法論を創出して適用する実践的諸科学総合の超域的研究方法を持して、一国一地域を越えて遍在する超域的問題群の研究に取り組み、大学・研究機関において北東アジア地域の研究に従事する教員・研究者をめざす人材。
  • 各国の行政機関、日本を含む北東アジアの地域社会を支える企業、北東アジア地域において国際的に展開する企業、国際交流を支援・推進する公的機関、NGOやNPO等の新たな組織において、的確な対策を提言・策定・実行できる高度な研究能力と問題解決能力を身につけたトップリーダーとして活躍できる人材。
3つのポリシーについて

アドミッションポリシー

北東アジア専攻(博士前期課程)

  • 日本を含む北東アジア地域についての政治・経済・歴史・社会・文化に関する高度で広範な知識と北東アジア地域言語の基本的運用能力を持ち、これを踏まえて独自の問題意識により、この地域に共通して存在する課題を発見し、国際関係論や地域研究などの従来の方法論を越えた新たな研究手法の開拓に取り組みながら、独創的な視点で研究を行う意欲を持つ者。
  • 北東アジア地域の特に政治と経済、社会に関する関心や、北東アジア地域言語の運用能力をもって、地域社会と国際社会両面にわたる広い知識を身につけ、この地域に存在する現実の問題を日本との現実との関係で広く捉えた実践的な研究活動を行い、その活動成果を活かしながら現実の問題を把握・分析する能力を涵養し、課程修了後は、北東アジア地域において高度職業人として活躍しようとする意欲を持つ者。

地域開発政策専攻(博士前期課程)

  • 社会のグローバル化と情報技術の高度化が地域社会に与えたインパクトについて十分理解し、日本国内における地域開発に関する研究を比較研究の手法を用いて応用・発展させ、北東アジアにおける超域研究にまで昇華できる可能性を持つ者。
  • 北東アジア地域からの留学生などで、北東アジアにおける地域政策の課題について高い問題意識を持ち、その課題解決に向けて日本国内における施策の現状と社会システムへの理解を深めて、課程修了後に北東アジア地域の地域開発に関連する業務に従事する意欲と情熱を持つ者。
  • 過疎化・少子高齢化、地域間格差など、我が国における政策的諸課題が先鋭化している島根県を中心としたフィールドの中で、地域社会の実態を調査分析する能力と実践的な社会科学の理論に裏打ちされた施策立案能力とを身につけて、地域においてリーダーシップを発揮して活躍したいと考えている者。

北東アジア超域専攻(博士後期課程)

  • 既存の複数の学問・方法論を踏まえた上で、北東アジア研究や地域開発研究に関し、北東アジアについての総合的な専門知識と言語能力を活かしながら、新しい有効な学問・方法論を創出し運用する能力を身につけて、日本を含む北東アジア社会を支える企業、国際交流を支援・推進する公的機関、NGOやNPO等の新たな組織において活躍しようとする意欲を持つ者。
  • 実践的諸科学総合の超域的研究方法を持して、一国一地域を越えて遍在する超域的問題群の研究に取り組み、大学・研究機関において北東アジア地域の研究に従事する教員・研究者をめざそうとする強い意欲を持つ者。

カリキュラム・ポリシー

本学大学院では、日本を含めた現代の北東アジア地域に遍在する問題(群)や現象は、一国一方法論的研究では扱いきれないとの理解に立ち、国際関係研究・地域研究・地域開発政策研究の諸方法論、英語を含めた北東アジア地域言語の運用能力やフィールド調査法、統計分析の手法など実践的な研究手法を修得させ、問題発見と課題解決策の提言ができる能力を有する人材の育成を図る。

博士前期課程

博士前期課程には、「スキル科目群」、「専門科目群(専門導入科目・専門科目)」、「研究指導科目群」があります。

  • 「スキル科目群」には、複雑化する現代社会の抱える諸課題について、高度職業人として実証を踏まえた統計学的推計に基づく科学的分析ができるように「情報解析科目」を、論文作成に必要な読解を中心とした語学能力を身につけさせるために、「国際言語演習科目」を1年次の配当科目として設けています。
  • 「専門科目群」のうち「専門導入科目」は、本学大学院における教育理念を俯瞰的に理解させるための科目で、「北東アジア超域研究総論」「開発政策総論」を、オムニバス形式の授業として1年次の春学期に集中的に配置します。
  • 「専門科目群」のうち「専門科目」を専攻としての専門知識の涵養を図りながら論文作成が円滑に行えるように、1年次から2年次に配置します。
  • 「研究指導科目」は、修士論文の完成に向けて、論文の作成や研究の進め方について指導する科目で、教員個々の研究の成果を教育に活かしながら、学生が幅広い観点から研究テーマを選定し論文作成が行えるように、教員による集団指導を基本としており、1年次、2年次に配置します。

博士後期課程

北東アジア研究を進展させて超域研究を主体とした博士論文指導を行なうことから、論文指導のコースワークを明確にするために、1年次に「北東アジア超域研究指導I」を、2年次に海外等で調査活動を行なう「特別研究活動」を、3年次に「北東アジア超域研究指導II」を配置しています。

学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)

島根県立大学大学院北東アジア開発研究科は、「専攻分野に関する学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥を究めて学術文化の向上を図り、深い知性と豊かな感性を備え、自立して研究あるいは政策立案することのできる人材を育成するとともに、地域社会及び国際社会の発展に寄与する」という目的を掲げており、本研究科の学位授与方針は次のとおりである。

博士前期課程

北東アジア専攻

北東アジア地域全般にわたる広い知識を身につけ、この地域に存在する現実の問題を把握・分析する能力を備えること。

地域開発政策専攻

地域政策についての高い問題意識に基づき、地域に存在する現実の問題を把握・分析し政策提言する能力を備えること。

博士後期課程

北東アジア超域専攻

北東アジア研究や地域開発研究に関し、北東アジアについての総合的な専門知識と言語能力を活かしながら、新しい有効な学問・方法論を創出し運用する能力を身につけること。