私のオススメ本
第214回 「発見」や「学ぶこと」にわくわくする人にオススメ

松江キャンパス 図書館職員 林 知代
『プロジェクト・ヘイル・メアリー 上・下』
アンディ・ウィアー著
小野田和子訳
早川書房 2021年12月発行
アンディ・ウィアーの小説『プロジェクト・ヘイル・メアリー』は、表紙を見ればわかる通りSFですが、SF小説をあまり読まない人でも、専門的な知識がなくても理解できる構成で、物語の勢いとキャラクターの魅力でどんどん読めます。
物語は、主人公が記憶を失った状態で宇宙船の中で目覚める場面から始まります。彼がおかれた状況を一つ一つ解き明かしていく過程は、SF翻訳家の山岸真さんによる巻末解説の「実験と推論の積み重ねがプロットを推進していて、科学実験の楽しさがそのまま小説になっている」という表現がぴったりです。解説には「読んでいると自然にわくわく感が湧いてきて、ハラハラさせられるのも含めて楽しくなってくる」「科学的な手続き、知識や考え方の重要さを新しい世代に伝えようとしている」ともありまったく同意です。学ぶことの楽しさが物語を通して感じられる本です。
また、予想外の友情やユーモアが随所に盛り込まれており、心地よい読後感を味わえるのも魅力です。読み終えた後には、世界を見る目が少し優しく変わるような爽快感が味わえるエンタメ性抜群のSF小説です。
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